『恋しさと せつなさと 心強さと』

(10 Years Episode 3)

A-PART


構想・打鍵:Zeke

 この作品はフィクションです。登場する人物、名称、土地、出来事等は実在するものではありません。
 また本作は(株)ELFの作品「同級生2」の作品世界を設定として使用しております。




「お兄ちゃん真剣勝負だからね。」
「唯、みにくいぞ。たかだかストロベリータルト一切れで。」
「じゃあ唯に譲ってよ。」
「やだ。」
「じゃあやっぱり勝負だよ。」
 テーブルの上に置かれた3時のおやつ(お母さん特製のストロベリータルト)を夾
んで唯とお兄ちゃんは対侍していた。
「仕方ないな。」
「1回勝負だからね。」
「わかってるよ、いくぞ‥‥最初はグー!」
「やったぁ!!」
「ちょっと待て、今のは反則じゃないか? 最初はグーって言っただろう。」
「じゃあ何でお兄ちゃんはパーを出してるのよ。とにかく勝ちは勝ちなんだからこれ
 は唯が貰っておくよ。」
 お兄ちゃんは悔しそうに、
「ま、まあ、あんまり勝ちすぎるのも唯がかわいそうだしな、わざと負けてやったの
 さ。」
 ふん、だ。負け惜しみばっかり。
 ん? お兄ちゃんが唯のことじっと見てる。何だろう?
「あのさ普通こういう事言ったら『お兄ちゃん優しい、コレあげるよ。』とか言わな
 いか?」
「言わない(!)。お兄ちゃん、唯が負けたときそんな事言ってくれた?」
「ちぇ」
 お兄ちゃんはダイニングからリビングに移ってテレビのスイッチを入れた。もちろ
ん唯もタルトを持ってお兄ちゃんの後を追う。
  ソファに座ったお兄ちゃんの隣に唯も腰をおろしてタルトにフォークを入れる。
 そして一口・・・。
「うーん、おいしい。やっぱりお母さんのストロベリータルトは絶品だね。」
 お兄ちゃんに聞こえるように声に出して言ってあげる。え、意地悪だって?今まで
唯は負ける度にこれをやられていたんだよ。せっかく勝ったんだから思いっ切り言っ
てあげるんだ。
「特にシロップ漬けにしたイチゴ、その下のカスタード、この取り合わせがなんとも
 言えないよ。」
「ふん、俺は大人だからそんな事言われても、ちっとも悔しくないぞ。」
「別にお兄ちゃんを悔しがらせるためにこんな事言ってるんじゃないよ。ただ、おい
 しいなぁって言ってるだけ。」
「じゃあ、向こうで食えよ。」
「唯、このテレビ見たかったんだもん。」
 嘘だけどね。
 だってこの再放送のドラマ唯は前に見ちゃったんだもん。お兄ちゃんは見てなかっ
たらしくてテレビに見入ちゃってる。つまんないの、せっかくお兄ちゃんに勝ったの
に‥‥あ、でも今日は最終回みたい。

30分後‥‥
 テレビを見ながら食べていたせいかまだ1/3くらいが、お皿の上に残っている。
 ドラマの方はいよいよラストシーンで荷物をまとめて部屋を後にしたヒロインの目
の前に主人公が立ちふさがる場面が映し出されている。
 以前に見たドラマとはいえ、やっぱり見入ちゃうよ。
 主人公の胸の中に飛び込むヒロイン。そして2人は見つめ合い‥‥

「スキあり!」
(えっ!)と思ってお皿の上を見ると残っていた筈のストロベリータルトが消えてい
た。
 ゆっくりとお兄ちゃんの方を見ると、口をモグモグと動かしている!
「たっ食べちゃったの?」
「当然だ。あーうまかった、最後の一口だと思うとまた、格別だな。」
 唯だったらまだ二口か三口分くらいはあったのに‥‥許せない。
「か‥‥‥」
「ん? 蚊がどこかにいるのか?」
 そんな事でごまかそうったってダメなんだから、
「返せ――――――!」
 横からお兄ちゃんの首に手を掛け叫ぶ。脳裏に
「おやつを取られて逆上、兄を絞殺!!」
 なんて3面記事の見出しが浮かんだけど構わない。
「無茶言うな。わっ、首を絞めるんじゃない。」
「食べ物の恨みは恐いんだよ。天国で後悔してねお兄ちゃん。」
 脅しのためにほんの少し手に力を加える。でも、
「やめろとゆーに。」
 お兄ちゃんは唯の手を掴み、あっさりと首から外してしまった。
「俺に見せびらかせる様にして食べてるお前が悪いんだ。へっへっへ、さあどうして
 くれようか?」
 唯の両腕を掴んだままお兄ちゃんが不敵に笑う。

 ジャジャーン!
 不意にテレビから大音量の音楽が流れ出てきた。びっくりして目をテレビに向ける
と、ブラウン管の中の2人はラブシーンの真っ最中だ。カメラが様々な角度から2人
を撮り続けている。
 ちょっと恥ずかしくなって、目を逸らすとちょうどお兄ちゃんの目線とぶつかった。
 さっきは気が付かなかったけど、お兄ちゃんの顔がすごく近い場所にある。
 10CMもないくらい息が掛かるくらい、ううん、お兄ちゃんの瞳(め)に唯
 の顔が映っているのが分かるくらい近い場所に‥‥。
 お兄ちゃんが唯の瞳を見つめている、唯もお兄ちゃんの瞳を見ている。それがほん
の数秒‥‥
 ぴくり と唯の手を握っているお兄ちゃんの手が動く
「ゆい‥‥」
 声は聞こえなかったけど、お兄ちゃんの唇がそう動くのがわかった。
 くちびるが‥‥。
 そしてその距離が、お互いのくちびるの距離が徐々に‥‥。
 ふっと今見ていたドラマのシーンが頭をよぎる。
(え? こ、これって もしかして‥‥)
 近くなるお兄ちゃんの顔を見ているのが恥ずかしくて唯はそっと目を閉じた。
 閉じたはずなのに目の前が燃えているみたいに赤くなっている。
(なんで赤いんだろう?)
 そんな事を思った瞬間、唇が柔らかい感触で塞がれた。

             ☆           ☆

「どうしたの唯、ボーッとして。」
 我に返ると目の前にはお兄ちゃんでなくお母さんが立っていた。時計を見ると午後
5時15分! 30分近くボーッとしてた事になる。
「な、なんでもない。あの‥‥お、お兄ちゃんは?」
「龍之介くん? もう帰ってるんじゃない? 玄関に靴があったから2階に居るとは
 思うけど。」
 キッチンの中に入ったお母さんが応えてくれる。ちょっと複雑、目の前に居て欲し
いんだけど、きっと会っても恥ずかしくて目を会わせられないだろうな。
「ご飯の支度をするから手伝ってちょうだい。」
 そんな唯の思いなんか関係無しにお母さんがキッチンの中から呼びかける。
「うん‥‥。」
 曖昧な返事をしてガラステーブルの上を見ると、タルトをのせていたお皿とフォー
クが置かれたままだ。
「夢‥‥じゃないよね。」
 指でそっと唇に触れてみる。さっきの感触がまだ残っているみたい。
「ゆーいー、早く手伝って。」
「う、うん。すぐに着替えてくるから。」

 自分の部屋(って言ってもお母さんと共用だけど)に戻って普段着に着替えたんだ
けどそのままベッドに座りこんじゃう。
「お兄ちゃんと‥‥キス‥‥しちゃったんだよね。」
 声に出して呟くと急に心臓がドキドキしてきた。
 ボフッ!
 身体を捻ってベッドにうつ伏せになる。
「カトオリーヌ、お兄ちゃんとキスしちゃったよ。」
 つん! とヌイグルミのくちばしをつつく。
「ファーストキスだったんだよ‥‥よくレモンのキスって言うけど、唯の場合はきっ
 とストロベリーキスだね。だってお兄ちゃんも唯もストロベリータルトを食べてた
 んだもん。」
  ゴロン
 今度は仰向けになってヌイグルミを抱えたまま天井を見る。
「お兄ちゃん、何してるのかなぁ。」
 また、指を唇に当てる。
 夕暮れのリビングのソファの上‥‥か。ロマンチック‥‥だったのかなぁ。

「唯、どこか具合が悪いの?」
 ノックも無しにお母さんが入ってくる。あーん! 一人になれる部屋が欲しいよぉ。
 でも居候の身じゃしょうがないよね。
「唇‥‥どうかしたの?」
「何でもないってば」
 慌てて手を唇から離し上半身を起こす。お母さんが近づいてきて左手を唯の額に、
右手を自分の額に当てる。
「ちょっと熱っぽいかしら。」
 お兄ちゃんの事考えてたからかな?
「へ、平気。ちゃんと手伝えるよ。」
「そう? 無理しなくていいわよ。」
「平気だってば、‥‥今日はなに?」
「トンカツよ。」
 トンカツ〜ぅ、ファーストキスの記念の晩御飯のおかずがトンカツなのぉ〜。
「あの、他には‥‥」
「それだけ、後は煮物とキャベツの千切り。なによ、不満なの?」
「えーと、例えばハンバーグとかロールキャベツとか、こうお洒落な横文字を使った
 物がないかなぁなんて思ったんだけど‥‥。」
 「じゃあポークカツにして上げる。」
 同じぢゃない‥‥。

                   ☆

 お気に入りのペンギン柄エプロンを身につけキッチンに入る。
 唯がお米を研いでいる間にお母さんがまな板の上で豚肉の下ごしらえをする。
 で、その後豚肉にコロモを着せるんだけど、それが唯の仕事。
「どうしたの? じっとお肉を見つめちゃって‥‥」
「う‥‥ん。どれが一番大きいかなぁって。」
 一番大きいのをお兄ちゃんにあげるんだ。
「いやしいわねぇ、3枚とも同じ大きさよ。」
 そんなのわかんないもん。
 ハカリを取りだし一枚ずつ量ってみる。
「()‥‥我が娘ながら情けないわ、そこまでして大きいトンカツが食べたいの?」
 うるさいなぁ‥‥ほら、こっちの方が20グラムも大きいじゃない。あ、これは
 5グラム小さい。

 なんて事やりながら小一時間‥‥

「そろそろ出来上がるから龍之介君呼んできて。」
「う、うん」
 返事はしたけど足が進まない。だって今お兄ちゃんの顔を見たら心臓が破裂しちゃ
うかもしれない。
「どうしたの?」
「なんでもない。」
 ゆっくりと階段を上がりお兄ちゃんの部屋の前に立つ。大きく一つ深呼吸
 カチャ
 ノックをしようとしたらドアが開いた。
「あ‥‥」
「あ‥‥」
 一瞬目があってしまった、瞬間顔がカアッと火照るのがわかる。
 うわっ、やっぱりお兄ちゃんの顔がまともに見れない。
「あ、あの‥‥ご飯‥‥出来たから。」
 うつむいたままやっとそれだけ言う。
「ああ‥‥」
 何事もなかったかのように、唯の横をお兄ちゃんがすり抜けていく。
 ()‥‥お兄ちゃん落ち着いてるなぁ、唯はこんなにドキドキしてるのに。もしか
して初めてじゃなかったのかなぁ。だとしたらちょっとずるいな。

                                  ☆

 いつもなら学校であった事とか、喫茶店であった事で賑やかな夕食だけど今日はお
母さんだけがよく喋っていた。
「‥‥で、そのお客さんたら何を注文したと思う? 手巻き寿司よ、手巻き寿司。う
 ちは喫茶店ですって言ったら、『今の内に始めておかないと時代に乗り遅れますよ』
 ですって、失礼しちゃうわ。‥‥どうしたの唯、さっきから龍之介君の方をチラチ
 ラ見たりして。」
 ぎく。もう、変な事に気が回るんだから。
「ははぁ、わかった。」
 ぎくぎくっ! な、何がわかったの?
「大丈夫よ、お肉取り替えたりしてないから。ねえ、龍之介君聞いて。唯ったらハカ
 リまで持ち出して一番大きいトンカツを自分のものにしたのよ。」
 ちがうもん、一番大きいのはお兄ちゃんに上げたんだから。
「龍之介君元気がないわね。」
 なんの反応もしないお兄ちゃんにお母さんが話しかける。
「そ、そんなことないよ。はは、ゆ唯ソース取ってくれ。」
「え? あ、う、うん。」
「唯、それお醤油‥‥」
「さ、さんきゅ」
 渡そうとしたときほんの少し唯とお兄ちゃんの手が触れた。
 ガシャ!
 2人が同時に手を離したもんだからお醤油の瓶は重力の法則に抗うことが出来ずに
テーブルの上へと落下した。

「もう、今日は2人とも変よ。いったいどうしたの?」
 布巾でテーブルにこぼれたお醤油を拭き取りながらお母さんは何も言わない唯とお
兄ちゃんを交互に見ている。無言の数秒、再びお母さんが口を開く
「まさか‥‥あなた達!」
 お兄ちゃんがビクッとするのがわかる。もちろん唯もだけど‥‥。
「喧嘩してるんじゃないでしょうね。ダメよ仲良くしなきゃ。」
 良かった、お母さんが鈍感で‥‥。

 結局お母さんはそれ以上追求してこなかった。
 夕御飯が終わるとお兄ちゃんはさっさと自分の部屋に戻ってしまった。ちょっと
つまらないけどそれが結構嬉しかったりする。だってお兄ちゃんが唯のことを意識し
ているって事がわかったから。

 それからテレビ見て、お風呂入って、ちょっとだけ宿題やってベッドに潜り込んだ。
‥‥けど、やっぱりというか、目が冴えて眠れない。
 目を閉じると、お兄ちゃんの顔が浮かんでくる。
 明日も土曜とは言え学校があるんだから眠らなきゃ、と思うんだけど益々眠れなく
なっちゃう。こうなったら仕方がない‥‥

「羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹、羊が‥‥」
 古典的なおまじないだけど、これが悲しいことに唯にはよく効くんだよね。いつも
百匹になる前に眠っちゃうんだから。

「羊が八三匹、羊が八四匹、羊が‥‥ふぁ、そろそろかな?」
                 
「羊が九九匹、羊が百匹、あれれ。‥‥羊が百一匹、羊が百二匹‥‥」
                 
「羊が三百五匹、羊が三百六匹‥‥眠れないよぉ‥‥羊が三百七匹、羊が‥‥」
 結局、一万三千匹余りが牧場の柵を飛び越えて行った様な気がする。よく覚えてな
いけど。だってさすがに眠く‥‥なっ‥‥て

             ☆           ☆

「‥‥ろ‥い。おい! 唯、起きろってば。」
 ふにゃ? ‥‥まだ眠いよぅ
「こら、起きろって言ってるだろ。」
 う‥‥ん? なんでお兄ちゃんが唯の部屋にいるの?
 ゆっくりと目を開けるとお兄ちゃんの顔が目の前にある。
「やっと起きたか。ほれ、早く支度しろ。」
 支度?
「寝ぼけてんのか? 水族館でデートするって言い出したの唯だぞ。」
 そうだっけ? ‥‥水族館でデートかぁ、そういえば『連れてってよ』って言った
様な気が‥‥。
「デ、デート!?」
「なんだよ、別に不思議はないだろ?唯と俺は恋人同士なんだからさ。」
「恋人‥‥? 同士‥‥?」
「昨日キスしたじゃないか、立派な恋人同士だろ? ‥‥それとも嫌だったのか?」
 あわてて首を左右に振る
「う、ううん 嫌じゃなかったよ。その‥‥う、嬉しかったよ。」
 唯の顔今真っ赤だろうなぁ。
「そうか。じゃ、もう一回する?」
 唯は返事をしないでそのまま目を閉じた。心持ち唇を突出す様にするとお兄ちゃん
の顔が近づく気配がして‥‥
 んっ‥‥

 あれ? お兄ちゃんの唇の感触が昨日と違うような気がする。なんか柔らかいとい
うよりモコモコしてて‥‥おそるおそる目を開けると目の前にはカトリーヌのおしり
があった。
 あう、夢かぁ。‥‥でも、悪い夢じゃないよね。えへへ、お兄ちゃんと恋人同士かぁ。
唯とお兄ちゃんは血が繋がっていないんだから有り得ない話じゃないよね。

 コンコン
 お、お兄ちゃん? もしかしてさっきの夢、正夢だったりして。
 いそいそとベッドに潜り込む。
 カチャ
「唯! いつまで寝てるの。遅刻するわよ。」
 なんだお母さんか。
 のそのそと上半身を起こす。
「ずいぶんとのんびりね。時計見たら。」
 えっ、そんな時間なの? 首を巡らせて時計を見る。なんだまだ8時じゃない
‥‥って8時!!!?
「ど、どうしてもっと早く起こしてくれなかったの。」
 布団をはねのけて飛び起きる。
「さっき起こしに来たとき、幸せそうな顔してヌイグルミに顔を埋めて寝ていたか
 ら‥‥いい夢見てたんじゃない? 起こした方が良かった?」
 う、それは難しい選択だよ。
 黙ったまま制服に着替え髪にリボンを結わえる。
「サンドイッチを作ったから少しは食べて行きなさい。」
「ありがとう。‥‥あ、お兄ちゃんは?」
「珍しく早く起きて、もう学校に行ったわ。」
 ええ〜〜〜、唯はいつもギリギリまで待っていてあげるのに。お兄ちゃんの薄情者!

  サンドイッチを3つ口に放り込み、牛乳で流し込みながら玄関に出る。うわっ、
走らないと間に合わないかも‥‥。
「行ってきまーす。」
「行ってらっしゃい。気をつけてね。」
 お母さんの声を背に受け玄関を飛び出す。

             ☆            ☆

 はあ、はあ、ふう〜‥‥ま、間に合ったぁ。
 ギリギリで学校にたどり着けた。始業まであと10分、呼吸を整えながら教室に入
ろうとしたとき、
「唯ちゃん。」
「あ、友美ちゃん。おはよう。」
 長い髪を揺らしながら、幼なじみの友美ちゃんが走り寄ってくる。
「おはよう、ねぇどうしたの?」
「どうしたのって、何が?」
 友美ちゃん、ちょっと深刻な顔をしてる。
「何がって‥‥まず唯ちゃんが1人でこんなギリギリの時間に登校して来ることね。」
「き、今日はちょっと寝坊しちゃって。」
「‥‥あと、龍くんが私より早く学校に来ている事がすごく不思議なのよね。今日は
 花を替えようと思って8時前に教室に入ったんだけど‥‥。」
  お兄ちゃんってばそんなに早く来たんだ。
「しかもボーッと窓の外見て話しかけても上の空だし、何か心当たり無い?」
 じっと唯の目を見て聞いてきた。
 ある‥‥けどそれを言ったら友美ちゃんに殺されるかもしんない‥‥。
 えーと、えーとなにか良い言い訳は‥‥
「やっぱり何かあったのね。」
 その一瞬の沈黙を肯定に捕らえたのか友美ちゃんはあっさりと結論を下した。
 そして当然のごとく、
「で、何があったの?」
 ここで
「実はお兄ちゃんにキスされちゃって‥‥。」
 などと言おうものなら唯は友美ちゃんに変な注射を射たれて明日の朝には香港行き
の船の中にいるかもしれない、ってそんな事はないと思うけど。そうだ!
「ひょっとして昨日一切れ残っていたストロベリータルトを唯が食べちゃったからか
 な。」
 嘘はついてないよね。
「唯ちゃん‥‥何か知っているでしょう。」
 な、何でわかっちゃたの、
「唯ちゃんは嘘つくと目が泳ぐからすぐにわかるわ。」
 嘘はついてないのに‥‥
「ゆ、唯には何のことだか‥‥」
「ごまかさないで。で、相手は誰なの?」
「相手って?」
「だから! 龍くんの好きな子()」
 友美ちゃんは「好きな子」のところだけ声を潜めた。でも唯は
「えーっ! お兄ちゃんに好‥‥」
「声が大きいわ。唯ちゃんも知らないの?」
 口を押さえられたままコクコクと頷く。
「何でそう思ったの?」
「だって‥‥あれはどう見たって恋の病よ。唯ちゃんなら何か知っていると思ったの
 に(sigh)‥‥。」

 キーンコーンカーンコーン‥‥

 予鈴が鳴り友美ちゃんは唯に背を向け自分の教室に戻って行った。唯も教室に入り
自分の席につく。
「ふう‥‥」
 なんか力抜けちゃったな、お兄ちゃん好きな子がいるんだ。それなのに唯にキスな
んかして‥‥。もしかして唯で練習したのかな?
 ‥‥誰なんだろ、お兄ちゃんの好きな子って。お兄ちゃんの様子がおかしくなった
のっていつからだっけ。
 確か昨日の‥‥あれ? ちょっと待って、おかしくなったのって唯とキスしてから
じゃなかったかな?
「‥‥さわ、なるさわ」
 もしかしてひょっとしてお兄ちゃんの好きな子って‥‥唯のこと‥‥なのかな?
 そ、そんなわけないよね、唯は妹だもん。‥‥でも、好きでもない人としか普通し
ないよね、キス‥‥って。
「なるさわ! ‥‥鳴沢 唯!」

「は、はい!」
 いけない、授業始まってたのか。
「何度も呼ばせるな。次、読め。」
 え? えっ? 次ってどこ? パラパラ教科書をめくるけどわかるわけない。
「32ページ3行目」
 後ろから仲の良いクラスメートの綾ちゃんがこっそり教えてくれる。
 ああ! ありがとう綾ちゃん、持つべき者は友達だよね。

                   ☆

「オーケー、ベリーナイス。」
「ほっ。」
 良かった。でもなんだか周りで笑い声が漏れているような‥‥。
「と、英語の時間なら言われただろうな。」
 えっ?
「鳴沢、俺の名前と担当科目を言ってみろ!」
「川本先生‥‥担当は国語‥‥です。」
「よろしい。ついでに言うとだな、今は3時限目で英語の時間は1時限目だ。前の授
 業の教科書を読むのなら可愛気もあるが2つ前の授業の教科書を読まれるとは思わ
 なかったぞ。少し廊下で頭を冷やして来い。」
「‥‥はい」
 は、はずかし〜、廊下に立たされるなんて初めてだよ。

 ドアを開けて教室を出る‥‥と、
 あれ? 向こう教室の前にも誰か立ってる。‥‥お、お兄ちゃん!?

                   ☆

 キーンコーンカーンコーン‥‥
 はあっ、立たされていると時間が長く感じられるな。普通に授業を受けていても長
く感じる事はあるけど‥‥。
 チャイムが鳴り終わり真っ先に廊下に出てきたのは友美ちゃんだった。
 うわっ、まずっ‥‥!
 あわてて身体を教室の柱の影に入れて隠れようとしたその時、
「おい鳴沢、教室入っていいぞ。あんまり授業中にボーッとするなよ。」
 せ、先生そんな大きな声で言ったら友美ちゃんに聞こえちゃうじゃない!
 立ち去る先生の背中を睨みつける。でも、唯の背中にも刺す様な視線を感じるのは
気のせい‥‥だよね。
 怖る怖る振り返ると‥‥腰に手を当てた友美ちゃんがこっち見てる。
「あ、あははー」
 思いっきり引き釣った笑顔を友美ちゃんに向けて教室に逃げ込む。
 ああ、神様! どうか友美ちゃんが変に勘ぐったりしませんように‥‥。

 でも、その願いはホームルーム終了後、見事に打ち砕かれた。
 担任の先生が出て行くが早いか
「ゆいちゃ〜ん」
 肩掛け鞄のヒモを握りしめた友美ちゃんがドアの所で「おいでおいで」と手招きを
している。もちろん肩掛け鞄にはお兄ちゃんもくっついていた。
「な、なに?」
「ちょっと時間いいかしら?」
 顔は笑っているけど目が笑ってない!
 まずい、ここは何とかごまかして‥‥
「ゆ、唯今日掃除当ば‥‥」
「唯、一緒に帰ろ。」
 ポンと肩を叩いてきたのは綾ちゃんだ。
「宮城(綾ちゃんの名字ね)さん、唯ちゃんは掃除当番なんでしょう。」
「えっ、うちのクラスは週替わりの当番制で私と唯の列は来週が掃除当番だからそん
 なことは無いけど‥‥な、なんか唯忙しそうだね。わたし先に帰るわ、じゃあねー。」
 友美ちゃんの雰囲気にただならぬ何かを感じたのか、言うだけ言って綾ちゃんは逃
げるように帰ってしまった。
 綾ちゃんの裏切り者〜、月曜日おぼえてろ〜

「じゃ、行きましょう唯ちゃん。」
 にっこり微笑み(目は笑ってないけど)唯とお兄ちゃんの腕を引っ張ってずんずん
と歩き出す。友美ちゃんて意外とパワフルね。

 横目で唯と同じように引っ張られているお兄ちゃんを見てみる。もしもの時はお兄
ちゃんが言ってくれるのかなぁ。

「さ、2人とも入って」
 いつの間にか図書室の目の前に唯達3人は立っていた。友美ちゃんがドアを開ける
と土曜日の午後と言うこともあって室内はガラガラだ。
 ‥‥にも関わらず隅っこの方の席に腰を掛ける。
「さてと、何から聞こうかな。」
 そう友美ちゃんが切り出すのと頭の上から正に天の声が響いたのはほぼ同時だった。

『各クラスの委員長は至急視聴覚室に集合してください。繰り返します‥‥。』
「呼んでるぞ、委員長。」
 唯が今日初めて聞いたお兄ちゃんの言葉。
 そっか、友美ちゃんは委員長さんだったっけ。
「まさかすっぽかしたりはしないだろうな、責任感の強い我クラスの代表が。」
  友美ちゃんがお兄ちゃんをちょっと睨み付ける。
「すぐに戻って来るから待ってて。」
 席を立って出口に向かいかけ‥‥あれ?戻って来る。
「もし先に帰ったりしたら後でひどいからね。」
 友美ちゃんらしいね。

                   ☆

「さてと、帰るか。」
 友美ちゃんが出て行くが早いかお兄ちゃんが立ち上がる。
「待ってなくていいの?」
「定例の集まりだろ。10分や20分で帰ってくるとは思えないし、そんなに待つ気
 もないよ。」
「後が怖いかもよ。」
「おまえ、友美がこわいのかよ。」
「そういう訳じゃないけど‥‥」
 ちょっと後ろめたい。
「大体どうして土曜の午後という貴重な時間を友美に束縛されなきゃいけないんだ?」
 お兄ちゃん、友美ちゃんに説明する気は無かったみたい。
「‥‥それじゃ唯も帰ろうかな。」
 ここにいてもする事はないし、一人で友美ちゃんに説明する勇気もない。
「まっすぐ帰るのか?」
「そのつもりだけど‥‥」
「じゃあちょっと寄り道していかないか? ほら、公園の脇に新しいピザハウスが出
 来ただろ。結構美味しいみたいだから食べに行かないか?」
 ちょっと驚いた。こうゆうときは大抵友美ちゃんも一緒に誘うから‥‥唯に用があ
るのかな? でもそれだったらここで話してもいいし、家に帰ってからでもいいわけ
だし‥‥。
「どうするんだ?」
「うん、いいよ。あ、でも割り勘だよ。唯あんまりお金無いからね。」
「驕ってやるよ。」
「雨が降ってきそうだね。」
「なんだよ急に‥‥。」
「だってお兄ちゃんが唯に驕ってくれるなんて。」
「どーゆー意味だよ。」
「いった通りの意味だよ。」
「ちぇ、だったら驕ってやらない。」
「だめだよ、一度言ったことには責任を持たないと。」
 昨日したことにも責任持って欲しいって言えたらなぁ。
「まあいいや。友美に見つかるとうるさいからさっさと行こう。」
「‥‥友美ちゃんに悪いと思ってるの?」
 思わず口から出ちゃった。でも、
「え、なんだって?」
 お兄ちゃんには聞こえてなかったみたい。
「う、ううん。何でもない。唯、鞄取ってくるから下駄箱の所で待ってて。」
「急げよ。」

 教室に戻り、クラブ活動に備えてお弁当をつついているクラスメートを横目にして
お兄ちゃんの待つ昇降口へ急ぐ。
「ご、ごめんね、待った?」
 いつもならどれだけ急いでも文句の一つくらいは覚悟しなくちゃいけないのに
「‥‥それだけ息が切れてれば、どれだけ急いだかわかるよ。」 
 ちょっと微笑んで唯が靴を履き替えるのを待っててくれている。今日のお兄ちゃん
妙に優しいんだよね。

 昇降口を出て並んで歩く。今日はいつもと違い、唯はお兄ちゃんの右隣を歩く。
 いつもなら左隣‥‥車道側を歩いているんだけど今日は右側、普段は友美ちゃんが
歩く位置を歩いている。
 いつもなら反対側から人や自転車が来ると唯だけが一歩下がって道を作っていた。
 けど、今日は違う。前から人や自転車が来てもお兄ちゃんの隣から下がることは無
い、それが妙に嬉しかった。
 でも歩き出してからというもの、お兄ちゃんは一言もしゃべらない。唯から何か話
しかけようかと思ったんだけど話題がない。
 考えてみたら今日はまともに授業を受けてなかったっけ。

 結局、一言の会話も無くそのピザハウスに着いてしまった。
 へー、家(『憩』)から結構近いんだ。お母さんにライバル出現かな。
 カララン!
 店内に入るとさすがに新しく出来たと言うだけあってきれいだ。お昼の時間から少
しずれている筈なんだけど、八割位のテーブルが塞っていた。
「唯!」
 見ると、お兄ちゃんが窓際の席に着いて手招きしている。
 お兄ちゃんに向かい合うようにして席に着いたんだけど、これもいつもと違うんだ
よね。普段ならここは友美ちゃんの席、唯はお兄ちゃんの隣にいつも座っていた。
 なんか緊張しちゃうな、向かい合って座る事ってあんまり無いもんね。

「いらっしゃい。今日も偵察?」
 店員のお姉さん(高校生くらいかな?)がお冷やとメニューをテーブルに置きなが
らお兄ちゃんに話しかけた。
 ん? 偵察って‥‥それに今日もって言ったよね、今。
「今日は違う娘なのね。この間のロングの娘はどうしたの?」
 友美ちゃんの事だ。‥‥そっか、先に友美ちゃんと一緒に来たんだ。
「あいつはただの幼なじみ。」
「へー、幼なじみね。」
 お兄ちゃんに疑いの眼差しを向けていたお姉さんが、今度は唯の方に笑顔を向けて、
「じゃ、この娘が本命なんだ。」
 ほ、本命って!?
「客のプライベートに顔突っ込んでないで、仕事しろよ。」
「はいはい。ご注文は?」
 今、否定しなかったよね。唯が本命かって聞かれて‥‥
「俺、ミックスピザとコーヒー。唯は?」
「おーおー、呼び捨て」
「やかましいわ!」
 否定しないって事は、肯定って事? 唯が本命? お兄ちゃんは唯のこと‥‥
「ゆい!」
「あ、ごめん。えーとシーフードピザと‥‥」
「ミルクティーだろ?」
 三人で喫茶店に入ると唯はいつもミルクティーを頼むからね。でも、今日はちょっ
と背伸びしたい気分なんだ。
「唯もコーヒー」
「なんだよ、珍しいな」
「唯ちゃんがシーフードにコーヒーと‥‥で、鈍感男がミックスにコーヒーね。」
「なんだよ、その鈍感男ってのは?」
「はっは。女の子の微妙な心理をわかってあげない男のことを言うのだよ。」
 メニューでパン! とお兄ちゃんの頭を叩いてカウンターの中に入っていく。

「友美ちゃんと来たことあるんだ。」
「ああ。最初にここを見つけたのが友美でさ、美佐子さんの強敵になるんじゃないかっ
 て‥‥。」
「それで今日は唯を連れてきてくれたんだ。」
「まあ‥‥な。半分はそうだ。」
 半分‥‥か、じゃあ残りの半分は?
 お兄ちゃんが口を開くのを待っていたんだけど、それきり窓の外に目を向けて黙っ
ちゃった。
 お兄ちゃん、唯はその半分が聞きたいんだよ。‥‥思い切って唯から聞いてみよう
かな。
「‥‥ねえ」
 ん? という風に唯の方へ目を向けてくれる。
「後の‥‥半分は?」
 言っちゃった。
「昨日のことだよ。」
 ドキン!
 心臓が大きく高鳴った。「昨日のこと」その言葉をお兄ちゃんから聞いただけでキュッ
と胸が締め付けられるような感じがした。

「はい、おまちどぉ。シーフードピザにミックスピザ、それからコーヒー二つ。」
 (‥‥)なんだかラブコメ漫画の王道を地で行ってるみたい。

 お姉さんはピザとコーヒー、そして伝票をテーブルの上に置くとカウンターへ戻っ
ていった。
「さ、さぁて冷めない内に食っちまおうぜ。」
「うん。あ、こっちの半分あげるから、そっちの半分ちょうだい。」
「そうだな、同じモノを食べるのも面白くないしな。」
「タバスコをかけてっと‥‥」
「次、唯にも貸して。」
「やめといた方がいいんじゃないか?」
「平気!」
 唯だって子供じゃないんだから。
 タバスコを受け取って自分のピザにお兄ちゃんがかけた量と同じくらい振りかける。
「掛け過ぎじゃないのか?」
「お兄ちゃんと同じくらいだよ。」
「だからだよ。‥‥ま、いいか。」
 意味深な笑い。なによぉ唯だってこれくらい‥‥一切れ口に運ぶ、ほらどってこと
な‥‥くない! か、からーい!
 慌ててコップの水を口に含む。
「くくくく‥‥」
 お兄ちゃんが笑いをかみ殺して唯のこと見てる。ふん、だ我慢すれば食べられない
ことないもん。‥‥でもやっぱりちょっと掛けすぎたかなぁ。
 場を取り繕うように今度はコーヒーを一口‥‥に、苦い! お母さんいつも喫茶店
でこんなの出してるの?
「くくく、あははは。だから無理すんなって言ったじゃないか。ほれ、俺の分のミル
 クと砂糖をやるよ。ブラックで飲もうなんてのが間違いなんだからさ。」
 お兄ちゃんの言う通り、ありったけのミルクを入れると何とか唯でも飲める代物に
なった。ピザの方も辛いのを我慢すれば本来の味が楽しめた。

                   ☆

「なあ。」
 3/4ほど食べたところでお兄ちゃんが声を掛けてきた。
「うん?」ピザを頬張りながら顔を上げる。でも、お兄ちゃんは唯のこと見たままな
にも言わない。
「なあに」
「あの、さ‥‥昨日のこと‥‥覚えてるか?」
 き、きた!再び心臓が早鐘を打つ。
「き、昨日のことって?」
「だから‥‥あれのこと‥‥だよ。」
「‥‥キス‥‥のこと?」
 お、お兄ちゃんの顔が、まとも見れないよ。
「そう‥‥昨日のアレ‥‥な。」
「‥‥うん」
「昨日のあのこと‥‥な」
「‥‥うん」


「‥‥忘れろ。」


  え!?
「忘れよう、俺も忘れるから‥‥」
 い、今なんて言ったの?
 忘れろ?
 キスしたことを?
 どうして?

「‥‥お兄ちゃんは忘れたいの?」
「‥‥」
「唯の‥‥ファーストキスだったんだよ。」
「‥‥」

 そっか、それで今日ずっと優しかったんだ。このピザも昨日のお詫びって事なんだ。
それが残りの半分だったんだ。
 そうだよね、唯がお兄ちゃんの本命なわけないよね。5年前からずっと‥‥唯は妹
だもんね。
 ‥‥
 無理してコーヒー飲んだり、ピザにタバスコかけたりしなきゃよかった。コーヒー
は苦いし、ピザは辛いし‥‥ばかみたい。
 ‥‥ 
 テーブルの上で光の粒が小さく弾けている。
 ‥‥
 あ、また
「ゆ‥‥い‥‥」
 顔を上げるとお兄ちゃんの顔の輪郭がぼやけて見えた。‥‥涙?そっかピザが辛す
ぎたから‥‥。
 ぼやけていてもお兄ちゃんが困ったような顔をしているのがわかる。
(違うよ、お兄ちゃんのせいじゃないよ。唯がピザにタバスコをかけすぎたからだよ。)
 そう言おうとした。言おうとして口を開いた。でも声が出ない‥‥出てきたのは低
い嗚咽‥‥
「ひっく‥‥」
(違う、お兄ちゃんは悪くないの。悪いのは勝手な想像をしていた唯なんだから)
「ひっく‥‥ひっく‥‥」
 そう思っていても涙と嗚咽は止まらない。‥‥ダメだここにいちゃ、ここにいたら
お兄ちゃんに迷惑が掛かる。これ以上唯のことでお兄ちゃんを煩わしちゃいけない。

 ガタン!
 椅子を蹴って涙でゆがむ通路を抜けて外へ飛び出た。
「唯!」
 後ろの方でお兄ちゃんの声が聞こえたけど振りかえらない、振りかえれない、振り
かえったらまた涙が溢れてきそうだから‥‥。


 唯のバカ! お兄ちゃんに迷惑かけて
 唯のバカ! お兄ちゃんが唯のこと好きなわけ無いじゃない
 唯のバカ! キスされたくらいで浮かれて‥‥ばか、ばかばかばか‥‥

 お兄ちゃんの‥‥お兄ちゃんのばかぁ!


B-PART へ続く
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