『一年後のクリスマス・イブ』

               written by 古酒
 注)本小作品群間には時間的なつながりはまったくありません。それぞれが
  独立した時間軸、あるいは空間軸によっていますので誤解のなきようお願
  いします。

 【その1】

 「なあ、もういいんじゃないか」
 男〜健太郎〜があくびをかみ殺した声で言う。
 ここは、誰も二人を知らない場所、二人が出会った町を遠く離れた場所。
 「だめ!こういう事はちゃんとしなくちゃ駄目なんだからね」
 「へいへい、じゃ頑張りましょうかね」
 「ほらぁ、もっとバランス考えてやってよ。もう、健太郎ってば適当なんだ
から」
 「ん〜? 俺は真由美がこんな事に凝るとは思わなかったぞ」
 そう言ってにこりと笑う。
 「いいじゃない、こうやってると楽しいじゃない。なんだかこう、わくわく
してこない」
 「可愛い事言ってくれるね、お、外見ろよ」
 「わあ、雪だ」
 「ホワイトクリスマスだな…」
 「メリークリスマス、健太郎」
 「メリークリスマス、真由美」

 Chu!!

 Merry Christmas ! MAYUMI

 [DATA:下級生 橘 真由美]


 【その2】

 カラ〜ン
 「いらっしゃ…、あ、久しぶりね」
 「久しぶりって、まだ卒業してから1年経ってないわ」
 「ふふ、それもそうね、どう元気にやってる?」
 「ええ、何とか大学には慣れたかなってところ、こっちの方はどう? 順調
なの?」
 「まあ、順調かな。あいつが手伝ってくれてるし」
 「卓郎くん元気なの?」
 「もう、元気なんてもんじゃないわ、相変わらずってところね」
 「彼らしいわね、今日は居ないみたいだけれど」
 「ん、今買い出しに行っているの、もうすぐ帰ってくるわよ」
 「ねえ、さとみちゃん、幸せ?」
 「え?ええ、幸せよ」
 「そう、よかった……」

 「そろそろみんなが集まってくるわね、さとみちゃん、私も手伝うわ」
 「ありがとう、じゃあこれを……」

 Happy, So Happy Christmas!

 [DATA:同級生 黒川さとみ、桜木舞]


 【その3】

 (えーん、せっかくのクリスマス・イブだっていうのに、なんで明日は試験
なのよう)
 明日12月25日に定期試験を控え、一人机に向かうのは鳴沢唯、同居人で
ある龍之介とは恋人同士であり、兄弟のような間柄である。

 コンコン

 「あ、俺だ、入るぞ」
 「はーい、どうぞ」
 「どうだ、勉強の方、はかどっているか」
 「うん、まあまあかな、それよりごめんなさい、せっかくのイブに」
 「なに言ってんだよ、自分の夢を実現させるためだろ、イブはまた来年もあ
るさ、ま、でもちょっと一息入れようぜ」
 「うん、あ、いいにおい」
 「ふっふーん、龍之介特製の紅茶とケーキだ、味わって食べてもらおうかな」
 「ええー、お兄ちゃんが作ったのぉ、嘘みたい」
 「嘘みたいとは失礼な、はは、まあ、食べてみろよ、味は保証しないけどな。
何なら食べさせてやろうか」
 「じゃあ、食べさせてほしいな」
 「い?」
  ……

 So Sweet Christmas!

 [DATA:同級生2 鳴沢唯]

                      了

戻る